テレビなどでは、お花見シーズンが近づいてくると、話題になるのが「桜前線」。
ところで、桜前線ってなんなの?
とかとか、そんなお話をしたいと思います。
加えて、お花見の将来が大変革するお話も、最後にしたいと思います。
桜前線の速度は何キロ?
桜の開花日とは、つぼみの中で5~6輪の花が咲いた状態の時を、桜の開花日といいます。
ソメイヨシノは挿し木や接ぎ木でしか繁殖させられないクローン栽培品種です。
その影響で、この木は気温などの気象条件さえ一致すれば、遠隔地同士であっても同時に開花する性質があります。
ですから、この等しい開花地点を繋いだ線が
「桜前線」となるわけです。
さて、ソメイヨシノが最も早く開花するのは四国の高知。
その後北上し 最後は北海道の根室で、この速度を計算された方によると、
高知~東京が時速1.8km/h。
その後、スピードは遅くなり東京~根室で0.8km/hだそうです。
つまり、赤ちゃんのハイハイするスピードと同じなんですね。
最前線の意味とは?
最前線とは、敵に最も近い戦場一帯を指し示す言葉で、転じて、進行している事象の最先端をさし、色々な分野で使われています。
桜の開花が等しい地点を結んだ線が、ヒタヒタと北上する様子は、まさに「最前線」という言葉どおりです。
尚、この前線には二つの種類があります。
ひとつは、「桜前線」のように日本を北上するなど大きく移動するようなもの。
もう一つが「梅雨前線」のように、ほぼ同じ位置に長くとどまるタイプのものです。
ここで、ひとつめの桜前線のようなものを
『生物季節前線』といい、もう一つの梅雨前線のようなものは、気象学上の『季節性のある停滞前線』と言います。
春は桜前線で他の季節の最前線はあるの?
春は桜前線(厳密にいえば、桜の開花日前線)が有名ですが、他にも風流なものとしては「梅の開花日前線」があります。
その他にも、最近時はみんなが影響を受けやすいスギ花粉の飛散がはじまる「スギ花粉前線」があります。
また秋の訪れをつげる、「すすきの開花日前線」などもあります。
気象学上の前線でいえば、3月~4月ごろに発生する「春雨前線(菜種梅雨の停滞前線)」、
6月~7月の「梅雨前線」、9月ごろに東日本付近で発生し、南下して行く「秋雨前線」、秋から冬(11月~12月ころ)にかけ、梅雨時のようなぐずついた天候を「山茶花前線(正確には、山茶花梅雨)」といいます。
将来はソメイヨシノからジンダイアケボノになる?
花見といえばソメイヨシノ、日本国内にある桜のおよそ80%がこの品種だといわれています。
ソメイヨシノは、てんぐ巣病という病気に弱く、しかも同じ遺伝子を持つクローンの悲しさ。
ひとたび、発生すると伝染し、病気が蔓延しやすいという欠点を持っています。
こういったことから、2009年にはソメイヨシノの苗木の販売と配布を停止し、代替品種への植え替えが進んでいます。
その代替品種がシンダイアケボノです。
この品種の誕生は興味深いもので、1912年、日本から米国にソメイヨシノが贈られましたが、これが別品種の桜と交配し、Akebono(アケボノ)が誕生。
1965年今度は米国から日本に、この品種が逆輸入されます。
この桜を神代植物公園で接ぎ木して育て、ある日そのうちの一本がAkebonoとは異なる特徴を持つ花をつけました。
この桜こそがシンダイアケボノです。
その花はソメイヨシノよりは多少濃いめのピンクで、そのうえ丈夫で病気に強いそうです。
おわりに
シンダイアケボノは、ピンクの桜の絵を思い描いたとうりの色合いで、花もそれぞれ濃淡があり、
木全体がピンクのグラデーション! すばらしく美しいといいます。
ソメイヨシノは人間によって創りだされ、人間の都合に翻弄される運命なのか?
ちょっと気の毒なような、寂しいような・・・でもその美しさはシンダイアケボノに引き継がれている。
それで良しとしましょう・・・
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