「顔が立つ」という日本語を知っている人は多いと思いますが、よく考えて見るとなぜ「顔」が立つのか知らないのではないでしょうか。
人間の顔は胴体とつながっているので、顔が独自に立つというのはありえませんが、
どうしてそのような表現になったのか調べてみると、面白い成り立ちがわかります。
そこで、今回は「顔が立つ」という言葉の意味や歴史についてご紹介していくので、ぜひ興味を持って読んでみてください。
1・顔が立つ〔顔を立てる〕顔がなぜ立つの?
まずは「顔が立つ」「顔を立てる」という言葉の意味についてご紹介していきたいと思います。
国語辞典に載っている意味としては、「面目が立つようにする、名誉が傷つかないようにする」などがあり、ここでいう面目というのは世間や周囲といった一般社会で言うところの立場です。
つまり、「顔を立てる」をもう少しわかりやすく言い換えると「その人の立場を守ることをする」ということになります。
日常生活でも「上司の顔を立てておく」であったり「ここは私の顔を立てて・・・」のような使われ方をしているのをドラマや小説、あるいは職場でみたことがないでしょうか。
しかし、意味はわかっても、やはり人間の顔が立つという表現になるのは理解できない人が多いと思います。
ここからは単語に分けて詳しく説明していきますが、「顔を立てる」の顔というのは文字通り顔面のことです。
ただ、顔面と一口いってもそれはその人の顔という意味合い以外にも、名誉、物の外見といった幅広い使われ方がされています。
そして立てるにも同様にたくさんの意味がありますよね。
一番想像しやすいのが物を縦に置く、ですが、例えば決意で身を律する、感情を高ぶらせる、
人をある状況におく、物事を好ましい形で成り立たせたり持続させたりするといった意味も含まれています。
「顔」というのがその人自身を表しているのだとすれば、「立てる」というのはその人を良い位置に置く、
名誉が傷つかないようにするということになり、今の「顔を立てる」という表現になったのです。
2・顔に泥をぬる!なぜ?
ちなみに「顔」という言葉が使われている慣用句や熟語というのは複数存在しており、
今回紹介した「顔を立てる」に似た表現や反対の表現もあります。
そういうわけで、ここからは「顔」に関連した言葉を2つほど紹介させてください。
まずは「顔に泥を塗る」という言葉ですが、これは日常生活でも比較的よく耳にするのではないでしょうか。
国語辞典に載っている意味としては「面目を失わせること」「恥をかかせること」とありますが、
ここで出てくる面目という意味は先ほど紹介した「顔を立てる」と同じ意味だと考えると概ね表現には納得するでしょう。
つまり、周囲からの名誉や立場を表す「顔」に「泥」をぬるということで汚されたり傷つけられたりするという様子を表現しているのです。
誰だって自分の大切にしているものを汚されるのは嫌ですよね。
もしかしたら自分が誰かの大切にしているものを傷つけてしまう可能性もあるので、日頃から行動には気をつけましょう。
3・合わせる顔が無い!なぜ?
次に「合わせる顔が無い」という言葉について説明していきます。
面目が無いゆえにその人に対面することができない、躊躇してしまうという意味合いの言葉ですが、
この「合わせる」について「会わせる」だと勘違いしている人もいるのではないでしょうか。
確かに実際に誰かと対面するときには「会う」という言葉を使用しますが、
「合わせる顔が無い」というときは「合わせる」というのが正解です。
そしてここで言う「顔」というのは面目であり、社会における体面、体裁ということなので、
「合わせる顔が無い」はつまり社会における体裁がなくなってしまうということを表現しているのです。
まとめ
日本語には色々な言葉が紹介し、熟語や慣用句にはどうしてこんな表現をしているのだろうと不思議に思う言葉が多く存在しています。
その成り立ちや由来を調べてみると、まるで連想ゲームのような誕生秘話に驚くことがあり、
それが日本語を知っていく楽しみでもあるのです。ぜひ自分でも調べてみると面白いかも知れません。
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