日本で昔から今に至るまで使用されている「てんこ盛り」という言葉。
これを聞いてイメージするものといえばお茶碗に白米がいっぱいに盛られている様子なのではないでしょうか。
漫画やアニメなどでお馴染みのこの「てんこ盛り」は古くは「日本昔ばなし」に登場するほど国民に浸透しているものです。
そんな有名なものですが、この「てんこ」という部分はいったい何を現しているのか知らない人が多いと思います。
そういうわけで、今回は「てんこ盛り」について詳しく説明していきますので、ぜひ日本語の奥深さを知って興味を持っていただければ嬉しいです。
1・てんこ盛りとは?
「ご飯をてんこ盛りにした」や「仕事がてんこ盛りになった」など、さまざまな場面で使われるこの
「てんこ盛り」というのは、ご飯などを高く盛り上げるような盛り方のことで、「山盛り」と言い換えることも多々あります。
この「てんこ」が何を意味するかというと、一部地域の方言である「てんこつ(天骨)」からきているという説が有力だそうです。
この「てんこつ」が昔は山の頂上を意味していたということで、
山盛りのことを「てんこつ盛り」と言うようになり、次第に「てんこ盛り」と省略されたというのが「てんこ」の正体になります。
漫画やアニメで登場するご飯を思い返してみると、ご飯茶碗やどんぶりといった底が深い食器に山のような形でいっぱいに盛られている表現が多く見られ、
中には「漫画盛り」と称する人もいるほど有名です。さらに派生言葉として、
「デカ盛り」や日本昔ばなしから由来する「昔ばなし盛り」なんていう言い方もあるそう。
さまざまな呼び方があるのは調べがいがあってとても楽しいですね。
2・てんこ盛りの言葉の歴史は?
次に「てんこ盛り」の言葉の歴史について説明していきます。
「てんこ」の由来は「天骨」だと既述しましたが、この「天骨」について詳しく述べると、山の上や空の上といった部分を指し示す言葉出そうです。
ちなみに、この言葉にはそれ以外に「思いがけない」や「とんでもない」といった驚きのニュアンスも含まれており、
まさに「てんこ盛り」という言葉をあらわしていますよね。
言い方が変化した「てっこ」や「てっきょ」などは西日本を始め群馬や福島でも使われていたようで、それぞれに変化を遂げていたことがわかります。
なお、現在ではこの「天骨」という単語の意味が変化しており、「生まれつきの人となりや天性」
「生まれつきの才能や器用さやそれが備わっている様」を意味するといわれているのです。
「天骨ない(てんこちない)」という言葉もありますが、これは「思いがけない」「とんでもない」と言う意味の近世語となっています。
3・てんこ盛りは共通語・方言どちら?
「てんこ盛り」の元となった「天骨」はもともと方言であり、北陸地方から関西、中国・四国を中心に各地へと広まっていきました。
現代ではこの言葉が広まったおかげで多くの人が使用しているため、方言という意識があまりないかもしれません。
しかし、もともと西日本の言葉であり、それが全国で使われるようになって今に受け継がれているのです。
まとめ
今回は日常でよく使う「てんこ盛り」について説明してきました。
自分が普段から使っている日本語に実はこんな由来や意味があったのかと驚くことが日本語を学ぶ第一歩かもしれませんね。
自分の興味のあることを調べていくといつか意外な場所で役に立つかもしれないで、この文章を読んで日本語について知りたいと思った方はぜひ自分でも調べてみてください。
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