夏のうだるような暑さも過ぎ去り、朝晩に冷え込むようになると秋どころか冬の気配すら感じますよね。
実は11月頃に入ると新米の季節ということで、例年お店に美味しいお米が入荷し始めます。
日本人であればお米が主食の人も少なくないかと思いますので、今年収穫したお米を楽しみに待っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、実は歴史を中世頃まで遡ると、日本では新米というのはそれほど人気のある物ではなかったようなのです。
そういうわけで、今回は新米と古米の雑学についてご紹介していきます。
美味しいお米を思い浮かべながら読んでみてくださいね。
昔は新米より古米が高値だった?
現在は値段も人気も新米のほうが勝っていますが、室町時代には古米のほうが新米の1.2倍から3倍ほど値段が高かったといいます。
2020年において、新米のほうが人気である理由を調べてみると、多くの人が「みずみずしくて美味しい」と答えていますが、
それは言い換えれば「べちゃべちゃしている」ということ。
好みの問題ではありますが、昔の人にとっては収穫から時間が経ってある程度水分が抜けた古米のほうが美味しく感じられたといいます。
しかも、昔はコメをもみ殻つきで保存するので、長期保存しても現代よりは劣化が穏やかであり、
古米だからといって味がそこまで落ちるということはないそうです。
こうした理由から昔は古米のほうが新米よりも人気があり、高値になっていたそうですが、もう一つ大切な理由があります。
それは古米のほうが新米よりも「いっぱい食べられる」からです。
普通、一合のお米を買う時、新米でも古米でもその量は変わらないはずですよね。
しかし、この2つは炊いたときの水分の吸収率、そして膨らむ量が異なるのです。
新米は既に十分水分を含んでいるので炊きあがった時に大きさが変わりませんが、
古米は水分が抜けている分、よく水を吸うので新米と比較して最大1.3倍は膨らむといいます。
それがお米の価格にも影響しており、なんと古米と偽って新米を混ぜる偽装工作まで行われることもあるほどでした。
新米と古米どっちが美味しい?
古米のほうが高値だったという歴史を紐解いてきましたが、実際新米を古米ではどちらのほうが美味しいのでしょうか。
それぞれの特徴を見ながら比較していきたいと思います。
まず新米ですが、一番はそのみずみずしさが人気です。
収穫されて間もないため古米に比べて水分量が多く、炊いたときに一粒一粒がツヤツヤと光り輝いて見えます。
口の中に入れるとジューシーな舌触りととろけるような甘みが出てきて美味しく感じられるはずです。
さらに、お米の7割以上を構成するデンプン質が豊富に含まれているので、
独特のもちもちとした粘りを生み出しており、同時に消化をよくする成分であることも知られています。
収穫直後のため、香りが豊かなのも特徴です。
一方、古米は新米よりも水分が抜けて硬いため、炊いたときに米粒同士がくっつかないという特徴があります。
これはお米を使った料理に適しており、お寿司や炒飯、リゾット、カレーといったご飯の粒を味わいたい時に用いられることが多いです。
さらに既述したようにお米の嵩が増えるため、育ち盛りの子どもを抱えたご家庭では古米は家計の助けになるでしょう。
ちなみに美味しさに関しても問題ありません。
実はワインなどと同様に、お米も低温で熟成されるため、長い間適度な温度と湿度の中で保管された古米は新米よりも多くの甘味や旨味を持っているのです。
こうした新米と古米の特徴から、自分に合った保管方法や美味しさを引き出す料理によってその美味しさは決まると言うことができます。
現代の日本人は「初物」好き?
日本人に限らず古くから人間は新しいものを好む人が多く、家電製品や洋服も新作が出るたびに買い替えるということも珍しくありません。
そもそも新しいものということは穢れなきものとして、古来より重宝される風習です。
お米が無事育ち、収穫できたことへの感謝や1年間の食に関する安心など、
日本人ならではの感性でお祭りを開催する地域もあったくらいなので、昔から「初物」が好きなのは変わっていないということなのでしょう。
まとめ
新米も古米も良いところや特徴があり、食べる人の好みによってどちらが美味しいか決まります。
寒い時期には特に暖かいご飯が恋しくなり、炊いてもすぐになくなってしまうこともありますよね。
子どもがたくさんいる家庭や一人暮らしなど、それぞれのシーンに適したお米を選ぶと美味しく食べることができます。
ぜひこの記事を参考にして、これから買い物をする時は新米と古米の違いを思い浮かべてみて下さい。
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