6月~7月になると、あの赤くて小さなサクランボが恋しくなります。
食欲をそそるあの色、そしてひと粒ふた粒じゃ、物足りないと思わせる、あの小ささが、恋人に会った時のような、恋しい気持ちになります。
とくに、サクランボは保存が難しい果物だそうです。
ですから、その分季節感があり、旬を感じさせられます。
ところで、お花見でご厄介になる、公園や川沿いの堤にさく咲く桜、主に「ソメイヨシノ」ですが、
お花見で見るあの桜ってサクランボが実っているのを見たことありませんが実がつくんでしょうか? そんなお話です。
桜になぜサクランボができないの?
サクランボ(和名:桜桃=おうとう)と言うくらいですから、桜の木になる果実ですよね?
でも、お花見をする桜には、サクランボは実らない。
これは当たり前のことだ!と思っていません?
お花見用の桜とサクランボは違うんだと、自分の頭に刷り込んでいませんか?
花見と言えば、ソメイヨシノ(染井吉野)が一般的です。
ただし、この公園にある桜も、サクランボを収穫するための桜も、バラ科モモ亜科サクラ属の植物ですから、全く同じではありませんが同属です。
ですから、お花見の桜も受粉すれば、実がなるのです。
驚きですね! でも、だったらなぜお花見の桜が、実をつけたのを見る事は無いのでしょうか?
専門的になりますが、桜は「自家不和合性」といって、同じひとつ(自分)の花の中の雄しべと、雌しべでは受粉しませんが、同一品種でも他の個体との場合は受粉します(他家受粉)。
ところが、ところがです! ソメイヨシノは、江戸時代、植木職人が“オオシマザクラ”と、“エドヒガシ”を交配して作った観賞用の品種なので、
自家受粉ができず植木職人が「挿し木」でふやしていった「クローン」が全国的に広まったものです。
当然クローンですから、沢山のソメイヨシノの木が満開になっていても、同一種で別の遺伝子をもったソメイヨシノは存在しませんから、
他家受粉もできず、その結果、実がつかないサクランボはできないという事なんですね。
青い桜もある?
175Rの「空に唄えば」?とか、初音ミクの「青い桜」?と言うように、“青い桜”というものは、何か心に響くものが有るのかも知れません。
でも、無粋な話になってしまいますが、そもそも青い花を咲かせる桜自体がありません。
とは言え、そう言ってしまっては身も蓋も無いので、探してみました。
ひとつめは、御衣黄(ギョイコウ)と呼ばれる桜があります。
緑色の花をつける桜ですが、日本では昔から、“緑”のことを“青”と表現することが有りますから、青い桜なのかもしれません。
ふたつめが、ジャカランダ。 和名は“紫雲木”と言います。 キリモドキ属ノウゼンカズラ科に属する中南米原産の高木です。
桜とはまったく別種の植物になるのですが、青い花が木々のまわり一面を咲き誇った花で覆う姿をみると、
まるで青い桜が咲いているようにみえてもおかしくはないのでは?
青い桜の花言葉は?
そもそも、青い桜はないわけですから、青い桜の花言葉は存在しません。
でも、御衣黄(ギョイコウ):さきほどの緑色の花が咲く桜ですが、その花言葉は、永遠の愛、心の平安、精神美だそうです。
そして、ジャガランダ:紫雲木。
この花言葉は、名誉、栄光だそうです。
ちなみに、花言葉の由来は、ジャガランダの花はラッパ状に咲くので、ファンファーレを吹くトランペットを連想させるからだそうです。
おわりに
ソメイヨシノには、サクランボはできませんと言いましたが、晩年の豊臣秀吉に、突然“子”ができたように、できないはずのソメイヨシノに、ごくごく稀に受粉し、実がつくことがあるそうです。
とはいっても、最大でも1cm程度で、酸っぱいし、苦いし、渋いしといった味のため、とても食べられません。
毒性はないそうなので、口に入れても問題は有りませんが、兎に角、まずいのでおすすめはしません。
キレイな花(美女?)は見るだけにしておきましょう・・・
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