恥ずかしい体験をした際に日本では「顔から火が出る」などと表現することがあります。
学校でも学習する言葉ですし、日常生活の中で普通に使用されているので実際に聞いたことがある人も多いと思いますが、
その意味を深堀りしていくとどうして顔という人間として重要な部分から火がでるのか不思議ですよね。
マジックでも顔から炎がでていたら不思議どころか恐怖ですが、実はこの言葉、由来を知るとなるほどと感心してしまう言葉なのです。
そこで、今回は日頃から使われている「顔から火がでる」「目から火が出る」「口から火が出る」について詳しく説明していこうと思います。
日本に住んでいるのであれば日本語を正しく使うことができるように、意味や由来などをこの記事で知ってみてください。
1・顔から火が出る意味は?
「顔から火が出る」の意味として一般的に国語辞典には「恥ずかしくて顔が真っ赤になる様子、またはそうした行為」と書かれています。
人生の中で恥ずかしいと思う体験をしたことは、どんな人でも一度はあるのではないでしょうか。
小学生の頃に先生のことをお母さんと呼んでしまったり、駅で全く知らない人を友人だと思って声をかけてしまったりと、
大きいものから小さいものまで様々な事件がありますよね。
そして、こうした場面では顔が熱くなって逃げだしたい気持ちになると思います。
しかし、いくら恥ずかしいと感じていても「顔から火が出る」の文字通りになってしまってはすぐさま病院送りになってしまい大変ですし、
現実でそうした事例を聞いたことがありません。
では、どうしてこのような表現になっているのか気になりますよね。
ここまでは「顔から火が出る」の意味について基本的なことを説明したので、次はその語源について述べていきたいと思います。
顔というのは生まれながらにして誰もに備わっている顔面のことです。
表情や顔つき、顔ぶれなどその表現には幅があり、さらには物の表面や団体の代表など、たくさんの物に例えられることもあります。
そして火というのはご存じの通り熱と光をだす存在です。
科学的に言うなら物が燃える際に発生する現象というところでしょうか。
古代から利用されてきており、今でも人間の生活にはとても身近なものです。
その用途は自身でも想像して欲しいのですが、部屋の明かりから調理、暖房、動力源、なにかするときの合図など普段気にしない部分にも使われていることがあります。
こうした火の色と言えばどんなものをイメージするでしょうか。
赤やオレンジ、黄色といった暖色系が多いと思いますが、このようにだんだんと赤くなることを恥ずかしくて顔が真っ赤になることにあてはめたのが「顔から火が出る」なのです。
昔の人はなにかと色々な現象を例えたがりますが、どんな表現もその意味や由来をよく考えると確かに納得できるのがすごいですね。
ちなみに、「顔から火が出る」の意味は有名なので間違える人はいないかと思いきや、その語感から勘違いをしてしまう人がいます。
よくある間違いとしては「頭を打って目の前に火花が散ったような状態」というのがありますが、これは全くの別物です。
これは恥ずかしいという本来の意味と全く関係ないので間違って覚えていると仕事で恥をかいて本当に「顔から火が出る」ような思いをしてしまったり、様々なところで支障が出てきてしまいます。
ぜひ正しい意味と使い方をして日本語を使いこなしてください。
2・目から火が出るの意味は?
ここまで「顔から火が出る」の意味について説明してきましたが、似たような表現として「目から火が出る」というものがあります。
実はこれが記述した「頭を打った時に目の前が火花が散ったようになること、または頭を打った時に目がくらくらする」状態です。
文字をそのまま捉えてしまうとなんておそろしい表現なんだろうと感じてしまう人もいるかと思いますが、
例えば新聞などで「電柱に頭をぶつけて目から火が出るような思いをした」と聞いたことがある人はいないでしょうか。
一瞬目の前が暗くなって、まさに火花がでるような体験をすることをわかりやすく例えているのです。
余談ですが、将棋に関係のある言葉として「目から火の出る王手飛車」という表現があります。
王手飛車というのは絶体絶命のピンチであり、目から火が出るようにまさに自分にとって痛い状態を指すのです。
日本語には様々な表現があって面白いですよね。
3・口から火が出る?
火という言葉が含まれた表現として、辛い物を食べた時や刺激物を口にしたときに「口から火が出る」と言う時があります。
テレビ番組を見ていてもロシアンシュークリームなど奇抜なものを食べている芸人さんをテロップなどで「口から火が出るような状態」と言ったり、
マンガでも辛い物を食べたキャラクターが実際に口から火が出ている様子を見たことがありますよね。
これは成人してお酒を飲んだことがある人しかわからないと思いますが、
相当度数の高いお酒を飲むとのどが焼けて本当に口から火がでそうになることもあります。
ただ、本当に口から発火することがあるわけではないようで、これも昔の人特有の大げさな表現と言えますね。
それでもこんな表現をされるほど苦しい状態だということには変わりないので辛い物やアルコールを摂取する時は自分の体調と相談しながらおいしく食べてください。
4・尻に火が付く?
さらに火に関係する言葉として「尻に火が付く」というものがありますが、
これは「溜まっている仕事の締切が明日だと気づいて尻に火が付く」
「翌日に用事があることをギリギリで思い出してしりに火が付いた」のように物事が差し迫って慌てふためく様子を表す言葉になります。
言い換えるとすれば「差し迫る」「追い詰められる」のような危機的状況に瀕した場面を表す言葉が適していますね。
このように爆発寸前や時間切れ寸前で慌てふためく様子を言い表す言葉ですが、似た言葉に「尻が割れる」という表現も存在しています。
これは「尻に火が付く」とは異なり、「悪いたくらみが露見する、または秘密がバレる」といった意味合いの言葉になりますので、使い方には気を付けてくださいね。
まとめ
そういうわけで、今回は「顔から火が出る」「目から火が出る」
「尻に火が付く」といった非に関連する言葉について詳しく説明してきましたがいかがだったでしょうか。
同じ単語から派生した言葉なのにこんなにも意味が異なるというのは不思議ですよね。
昔の人の例えというのは大げさなものがほとんどですが、その語源や由来を知ると納得するものばかりで知っていくのがとても楽しいです。
同じように顔や目、尻といった体に関する表現も多種多様なものが存在しているので、自分で調べてみると面白いかもしれません。
また、日本語は意味や使い方を勘違いしていると些細なことでも相手を傷つけてしまったり、恥ずかしい思いをすることもあります。
ぜひこれらの表現や比喩を扱う際はそれが本当に正しい使い方なのかを慎重に考えながら使ってくださいね。
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