物事を損得だけで考え状況によって態度をガラリと変化させる人を始め、
その時々によって主張や意見を都合よく変える人のことを昔から「現金なヤツ」と言い表しますよね。
一緒に働く人が「現金なヤツ」だとあっちではいい顔をしておきながらこっちにはそんな態度をおくびにも出さない時もあり、
なんて失礼な人だと思うこともしばしばあると思います。
しかし、そもそもどうしてこういった表現になったかご存知の方はいるでしょうか。
そういうわけで、今回は「現金なヤツ」の語源や意味を詳しくご説明していきます。
周囲にそういった人はぜひその対処方法についても考えてみてくださいね。
現金なヤツの語源は?
「現金なヤツ」の説明としてよくあるのが損得感情だけで相手に対する接し方を変える人や、
自分にとって益があるかないかという判断ですぐに態度を変える人とされています。
印象としては、おおむね揶揄や馬鹿にしたような表現が含まれていますのでよい意味とは言えないため、使い方には十分な注意が必要です。
例えば親しい人に対して軽い冗談のつもりで使うと相手はいやな気持ちになってしまうかもしれません。
では、「現金なヤツ」とは具体的にどういった人のことを言うのか。
わかりやすく例えるならば、仕事を教えてもらうときだけ甘えるように近づいてきて、仕事が終わったら感じが悪くなる新人になります。
そんな人は最低だと思う人もいるでしょうが、世の中多少現金なヤツのほうがうまくいくことが多いのも事実です。
現金なヤツの由来は?
文字からも分かるとおり、「現金なヤツ」の由来にはお金が関係しています。
江戸時代、関西地方には両替制度が生み出され、当時のお金である「現銀」によってものを交換することができました。
この現銀は比較的すぐに受け渡しができたため、交渉成立のスピードが早いということを踏まえ、
態度や意見をすぐに変える人のことを「現銀なヤツ」とあらわすようになったのです。
その後、明治時代に入るころには今のような「現金なヤツ」という表現に変わりますが、
意味は変わらず金品を取り扱う人のスピードの早さを表しています。
ちなみに、商人の町として栄えた大阪では金品を受け取るときに態度を変えるのは商売の一環だとして「現金なヤツ」への嫌悪感は少ないそうですが、
武士や位の高い人が多かった江戸ではプライドがないとされてよく思われなかったそう。
場所によって言葉の受け取り方が違うのも面白いですよね。
お金の現金と意味同じ?
語源からも分かるとおり、「現金なヤツ」の現金はお金の意味と同じになります。
ただ、英語で表す場合、「mercenary」というのは報酬目当てという意味なので、
「現金な」というよりは「商売本位」のほうがどちらかというと当てはまりますね。
ともあれ、「現金なヤツ」というのは抜け目がなかったり、自分本位だったりと少々厄介なところもありますが、
チーム内にいて同じ目的を持っている人がそういうタイプだと案外頼りになるかもしれません。
ちなみに、類語として、自分の利益のために相手に上手く調子を合わせる人という意味の「ちゃっかりしたやつ」、
自分の得のために調子を合わせる人を表す「虫のいいやつ」、態度の軽妙さや滑稽さから好かれている「お調子者」、
物事を判断するときに利益になるかどうかを確認する「打算的」などが存在します。
似たような意味を少しずつ覚えておくと、日本語のバリエーションが広がって自分の語彙力も培われていくので、ぜひ勉強してみてくださいね。
まとめ
自分勝手だけど周りからの評価が高い人に振り回された経験を持っている人が多いと思います。
もしかしたら自分が気づかないうちに相手を振り回していたなんてこともあるので、
今一度日ごろの自分の行動を振り返ってみてはいかがでしょうか。
特に大人になるとビジネスシーンで先を越されたり、手柄を横取りされたり、悔しいのに泣き寝入りするしかない、なんてことも起こります。
誰にでも損得勘定はあるものですので、少しくらい「現金なヤツ」なら許せるかもしれませんが、
あまりにも行き過ぎた行動をする人は近寄らないのが一番良い対処法です。
もしどうしても相手にしなければならなくなったときには、毅然とした態度で感情的になりすぎないようにしましょう。
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