日本人がよく言う「もったいない」という言葉。
まだ使えるものを捨ててしまったり、せっかく買った物を無駄にしてしまったりした時によく使いますよね。
世界的に見てもこうした概念のことを言い表す言葉を見つけるのは難しく、「KAWAII」と並んで「MOTTAINAI」として世界に発信されています。
ところで、「もったいない」の「もったい」が何を表すのか知っている人はいるでしょうか。
頻繁に使用する言葉でも実はその語源や意味について詳しく知らないというのは当たり前のようにたくさんあると思います。
そういうわけで、今回はそんな普段はよく使っているけれど実はよくわかっていない言葉「もったいない」について説明していきます。
ぜひ興味を持って読んでみてくださいね。
1・もったいない(勿体無い)とは?
そもそも辞書などで「もったいない」の意味を調べると「神仏や貴人などに対し、不都合であること」から始まり、
「不届きである様」「過分のことで畏れ多いこと」「かたじけない」「ありがたい」
「無駄になることが惜しい」などたくさんの文章が掲載されています。
現代からするとあまり馴染みのない意味合いであることがわかりますよね。
漢字で書くと「勿体」となり、仏教用語が由来であるとも言われています。
「勿体」とは「重々しい」「尊大なさま」を意味するのですが、本来は異なる意味であったのです。
2・「もったい」の歴史や本来の意味は?
「勿体」が仏教用語ということを述べましたが、これは元々「物体(もったい)」と書き、
「物のあるべき姿」「本質的なもの」を意味していたと言います。
これが辞書などで出てくる「尊大な様子」「重々しいこと」といった意味につながったのでしょう。
よくドラマの中などで登場人物が言う「勿体ぶらずに教えろよ」「勿体つけやがって」といったセリフもこれがもととなっているのです。
つまり、「物のあるべき姿」「本質的なもの」をないと否定することで「物の本体がない」としていたことになります。
もう少し簡単に言うと、「もったいない」というのはもともと「勿体」がない状態なのではなく、
「本来の価値」がない状態を惜しんで使用する言葉として今に伝わっているのです。
ちなみに、この仏教の「この世に何一つとして独立して存在しているものはない」とする空の思想や
「物事は全て繋がって存在している」とする「縁起」の思想にもつながっているとされ、奥深い世界があることがわかるでしょう。
私たちの世界には当たり前なことなど何一つなく、全てが有難いものであることを前提として「もったいない」と言っているのです。
こうした意味を全て含めようとすると、英語やその他の言語に置き換えることは不可能と言ってもいいくらいに難しいことであることがわかると思います。
3・全国の方言は?
ちなみに日本語以外で「もったいない」を表すのは難しいと言いましたが、
日本の中には方言として「もったいない」と同じ意味を持つ言葉があります。
宮崎では「あたれー」、石川では「あったらい」、北海道では「いたましー」、
山形では「いだまし」、岐阜では「おとましー」、富山では「またいする」、
千葉では「もやもやしー」などと、簡単に挙げただけでもこんなにたくさんの言い方が存在するのです。
もしかしたら自分が住んでいる地域でも「もったいない」とは違った言い方があるかもしれないので、調べてみると面白いかもしれませんね。
まとめ
近年は直すよりも買い替えたほうが安く済んでしまうことがあり、
それまで美徳とされていた「モノを修理しながら受け継いでいく」ということが贅沢になる場合もあります。
確かにお金が余計にかかったり、リサイクルなどで活用されるから罪悪感が少ないという事情もありますが、
モノに対して人が長年愛情を注いできたものを簡単に捨てるのは「もったいない」ですよね。
日本には八百万の神々がいると言われているように、大切にできるものは長く大切にしてあげるとその内自分にも何かいいことがあるかもしれません。
ぜひ「もったいない」の精神を忘れないでください。
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