蚊取り線香と言えば現代では液体式、マット式、コンセントに差して使うタイプ、乾電池で持ち歩き可能にしたタイプなどなど、千差万別です。
確かに、これらは効果的なんですが、豚の形をした蚊取り線香立てを見ると、「あ~夏だな~」とか、気分がほっこりします。
そこで、今回は容器を含め、蚊取り線香、それも渦巻き型についての色々をご紹介します。
蚊取り線香の容器が豚の理由は?
蚊取り線香の容器が、なぜ豚の格好(かっこう)をしているのかについては、諸説あるようです。
さて、この蚊取り線香の容器。
正式には“蚊遣器(かやりき)”と言います。
基本的には、蚊取り線香を安定して燃焼させ、且つ肺の飛散を防いで、後片付けを簡単にするための道具です。
なぜ豚の格好をしているかについては色々で、一つには蚊取り線香が発明される以前の江戸時代末期の東京新宿区の武家屋敷跡から、杉の葉などをいぶして蚊を追い払った「蚊取り豚」が出土しました。
一升瓶あるいは大型の徳利の底をぶち抜いて、横にした形で注ぎ口の部分が豚の顔に似ており、
鼻の穴がその注ぎ口で、その上方に目に相当する穴が別にあけられ、耳らしきものが突起していました。
このことから、これが江戸時代末期発詳説となりました。
二つ目が昭和20年代以降の常滑発詳説です。
養豚業者が豚の蚊よけのために、、最初は円筒形の「土管」の中に蚊取り線香を入れていましたが、
土管は口が広すぎて、煙がすぐ拡散してしまうので、少しづつ片側を縮めていくうちに形が、豚に似てきました。
そこで、「せっかくだから」と、豚の形の「蚊遣器」にして、常滑焼のお土産にしたところ、大ヒットして全国に広まったという説です。
豚の正式名称は?
豚の格好(かっこう)をした陶製の「蚊遣器(かやりき)」を『蚊遣豚(かやりぶた)』と言います。
蚊遣器の代表的な形状の一つで、三重県四日市市の満古焼のものなどが有名です。
その由来については、江戸時代末期発詳説、昭和20年代以降の常滑発詳説などがあります。
とくに豚の格好を模したのは、野生の豚(イノシシ)を火伏の神様とする信仰があったという説、
豚は毛で覆いつくされているから蚊に刺されにくいと考えられていたからという説もあります。
蚊取り線香が左巻きなの?
初期型の蚊取り線香は、なんと手巻きで製造していたそうです。
ただし、この初期型をよく見ると今とは逆の「右巻き」です。
なぜかと言えば、女工さんには右利きが多く、右巻きの方が巻きやすく、生産性が上がるというので当時の製品は右巻きでした。
つまりは生産性を考えての右巻きでした。
昭和中期頃から機械による打ち抜き方式に変わって行きましたが、その際、右巻きから左巻きに変更されました。
理由は、この頃になると、各社から蚊取り線香が販売されており、其の為少しでも他社との差別化を図りたいという意図で、左巻きにしたとのことです。
渦巻の理由は?
蚊取り線香は、元々大日本除虫菊(金鳥)の創業者の発明です。
仏壇の線香をヒントに、除虫菊の粉末を用いた、世界初の棒状蚊取り線香を発明しました。
ところがこれは、40分程度で燃え尽きるという弱点がありました。
そこで創業者夫人が、長時間必要な煙を出しながら燃焼させるには、
線香を太くして“渦巻状”にすれば良いというアイデアを思いつき、生産方法など、試行錯誤の末、現代の蚊取り線香の形状にたどり着きました。
まとめ
蚊取り線香と言うと“日本の夏”というイメージが多いようですが、東南アジアなどでは「MosquiteCoil(MC)」という名称で一年中売られています。
東南アジアに渡った日本人が、日本では夏だけだが、一年中夏の、これらの国々では、きっと一年中売れる!を思いついたとの事。
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