芭蕉の有名な句に「静けさや、岩にしみいる、セミの声」という句があります。
岩手県の「山寺」に行ったときに詠んだ句だそうです。 まあたいていの日本人なら、この句を聞いて、その情景や、雰囲気は大なり小なり理解できるでしょう。
ところが、この感性を全く理解できないのが欧米人のようです。
そんなトリビアも含め、今回はセミの鳴き声についての色々をご紹介します。
セミの鳴き声はスマホに聞こえない理由は?
よく言われている面白話は、「スマホではセミや鈴虫の鳴き声を聞くことはできない」という事です。
つまり、セミが鳴いている木の下で、誰かにスマホで電話します。
すると相手には自分の声だけが届きセミの鳴き声は聞こえないという事です。
一般にスマホが伝えることができる周波数は300~3500Hz。
一方セミの鳴き声は4000Hz以上なので、相手には伝わらないという訳です。
ただし、最近のスマホでは、これまで聞き取れなかった音域でも伝えることができるものが販売されており、
2014年には韓国で「鈴虫の鳴き声が聞こえるスマホ」と、銘打って販売された機種もあるそうです。
セミ鳴き声は種類は?
セミは鳴き声に特徴があるので、人によっては声を聴くだけでセミの種類も分かるし、種類によってはなく時間帯も違っています。
それと、大切なことは『鳴くのはオスだけ!メスは鳴きません』という事です。
セミの鳴き声は大別すると7種類あるそうです。
⦁主鳴音(本鳴き)・・・いわゆるセミの歌。 メスを誘うための鳴き声。 通常セミの声と言えばこれを指します。
⦁交尾誘導音・・・近くにメスが飛来したことに気付いたとき、交尾を誘う鳴き声です。
⦁つなぎ鳴き・・・いわば間奏。
⦁休息音・・・あたかも「ひまつぶしに鳴いた」ように聞こえるので、「ひま鳴き」とも呼ばれます。
⦁呼び交わし・・・あちらこちらのセミ同志が「ギッ!」と互いに呼び交わす鳴き方です。
⦁合いの手・・・近くで鳴く同種のオスの鳴き声に合いの手を入れるように鳴く声です。
⦁非鳴音・・・危害が加わったり危険を感じて逃げるときの鳴き声です。
代表的なセミの種類と鳴き方です。
擬音は参考程度です。
ピッタリもあれば、ン~もあります。
クマゼミ「ジ~ジ~・・・」、アブラゼミ「シャワシャワ・・・」、ミンミンゼミ「ミ~ンミ~ン・・・」、
ヒグラシ「カナカナカナ・・・」、ツクツクボウシ「ツクツクボ~シ・・・」、ニイニイゼミ「チ~チ~・・・」といった感じです。
セミは欧米人はセミを知らない?
欧米人はセミを知らない?というよりは「欧米人にはセミの声が聞こえない!」という事です。
「あんなに大きな声で鳴いているのに、セミの声が聞こえないなんて有り得ないだろ!」日本人なら誰でも、そう思います。
という事で、もう少し正確に言うと「セミが鳴いているなと認識したとしても、それは単に雑音の一つにしか過ぎない。
だから、雑音にしか聞こえない=セミを知らない、という事です。
例えば、我々が道路で生ずる騒音を聞くとき、あ!バイクが走った。
これってホンダのカブだなとか、ム~!何か車が走っていったぞ。
あれは、トヨタのカローラだとかは、認識しませんよね! 単に道路の騒音です。
騒音や雑音をわざわざ聞く人などいません。
欧米人にとってはセミの声は、この単なる雑音にしか過ぎないという事です。
我々、日本人は、ヒグラシの「カナカナカナ・・・」を聞けば、もの悲しさを感じ、「ジ~ジ~」や「ミ~ンミ~ン」を聞けば思わず、
“暑い”と夏の季節感満載ですが、欧米人は、秋の虫の声鈴虫やコオロギの鳴き声さえ雑音でしかないのです。
まとめ
西洋に限らず、世界中で虫の声に情緒を感ずる人々はごく少数で、日本人はその少数の部類だそうです。
一般に日本人は「音の揺らぎ」に敏感であるそうです。 やはり、セミの声に感ずる日本人。 いいじゃ~ありませんか!
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