「盥(たらい)」という言葉を聞くと、井戸水をかけ流しにして、スイカや、ラムネを冷やしたり、
昔は「たらい」と洗濯板で洗濯していたのですが、洗濯機が出てからは見かけなくなりました。
又、昔は水を張った「たらい」が日光で温められて、汗をかいて行水まどもしていました。
今回は、「盥(たらい)」から「たらい回し」と一つ飛びですが、どういう意味なのか調べて見ました。
盥(たらい)の意味は?
「たらい」は英語で「Washtub」と言いますが、平たい桶(おけ)のことです。
通常は、丸型をしていて、比較的に浅いものです。
一般に言われる「洗い桶(あらいおけ)」としての簡易洗面器もこの一種です。
顔や手を洗うために使われます。
温泉地や、銭湯の木製の桶を思い出してください、「たらい」は近年においては、使われる機会は著しく減少しています。
昭和20~30年代、「たらい」と「洗濯板」は、洗濯機の無い時代には、とても重宝な物でした。
地域によっては、嫁入り道具の一つとされていました。
このような説明を呼んで、分かる方は、もはや団塊の世代以上の人達くらいでしょうか?
盥(たらい)の昔と現在の違いは?
もともと「盥(たらい)」は桶(おけ)の製作技術を転用したものですので、戦前は木製でした。
第二次大戦後、軽量化や耐久性の向上を図るために、アルミニウムやメッキ鋼板で作られるようになり、
その後はトタン(亜鉛メッキ鋼板)を用いた「金ダライ」が生産、流通の中心となって行きました。
尚、最近では、プラスティックを用いた製品が作られていますが、せいぜい朝方にたらいに水を張って、
炎天下の直射日光で温め、幼児の行水かプール遊びくらいの用途しか、今は残っていないのではないでしょうか?
たらい回しの語源は?
「たらい回し」の語源は何かというと、「たらいを使い回していた」ことに由来するのではなく、
「傘回し」や「皿回し」と同じような曲芸の一つであったことに由来します。
明治・大正時代に隆盛した曲芸の一つです。
鉄割熊蔵の鉄割一座による足芸が有名です。
この芸は、次第に欧米との文化交流が活性化して行くなかで、海外ではその芸は、高く評価され、
すぐれた芸人は欧米に招請されてエンタテイナーとして、活躍する芸人もいたようです。
かの、トーマスエジソンにも感銘を与えたと言われ、それを撮影した映像まで残っているそうです。
たらい回しの意味は?
もともと曲芸の名前だった「たらい回し」ですが、実際の芸の様子から、「物事や人を、次から次へと順送りにする」という意味で使われるようになっています。
とくに、たらいをいくら回しても、中身は空のままという様子から、「次から次へと受け渡しても、中身は何も変わらない」という意味もあります。
本来は観客を笑わせるための娯楽である曲芸が、語源となった「たらい回し」ですが、本来の芸の目的である、
喜びや笑いと言った意味では全く使われず、面倒事や責任の押し付け合い、なすりつけ、逃れ合いなどと言った、悪い意味で使われています。
但し、曲芸にも責任のなすり合いにも共通するものが、一つだけあります。 それは、それを見ている人達を「ハラハラドキドキ!させる」この一点です。
まとめ
現代では、役所も病院も平気で「たらい回し」するので、「する」と言う自分主導の言葉という意味合いはほとんど現れず、
役所や病院に「たらい回し」されたという他人主導の言葉になっています。
病院の「たらい回し」は命の危険にかかわります!
もはや、「たらい回し」する人たちにとっては、たらい回しは日常茶飯事のことで、気にもかけない言葉なんでしょうね。
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