「秋茄子は嫁に食わすな」と言うと、嫁いびりの言葉という思いですが、
現代の若夫婦のほとんどが、「共稼ぎ」という事は、亭主である「息子」の稼ぎでは家族を養える程の「甲斐性(かいしょう)」もない。
となると、姑も昔のように「嫁いびり」は難しく、「嫁頼み(よめだのみ)」になるのかな~なんて考えてしまいます。
また江戸時代は贅沢な食べ物 という事で、今回は、この諺(ことわざ)に関するお話をご紹介します。
秋茄子は嫁に食わすなの由来は?
「秋茄子は嫁に食わすな」という諺(ことわざ)の由来には、三つの説があります。
⦁嫁いびり節・・・同じような諺で「秋かます、嫁に食わすな」、「秋鯖、嫁に食わすな」などなど、いずれも嫁いびりを匂わせる慣用句です。
封建的な家族制度のなかでうまれたことばです。
⦁やさしい姑説・・・茄子には身体を冷やす働きがあるので、涼しくなってきた秋に、茄子を食べると、
出産をひかえたお嫁さんの体が冷えてしまうので、やさしいお姑さんが、お嫁さんを心配しているのだと言うものです。
⦁実は「嫁」とは、夜目(ネズミの意味)を指すのだという説・・・鎌倉時代の和歌集「夫木和歌抄」には、『秋茄子 わささの粕(かす)につきまぜて よめにはくれじ 棚に置くとも』と言う詩があります。
これは、酒粕(さけかす)につけた秋茄子を美味しくなるまで棚に置いておくのはよいけど、
ネズミ(夜目:よめ)に食べられない様に注意しましょうと言う意味で、本来は「秋茄子はネズミに食わすな」であるという説です。
秋茄子は嫁に食わすなの意味は?
「秋茄子は嫁に食わすな」の諺(ことわざ)の意味については、その諺の由来に三つの説がありますから、当然に三つの意味が考えられます。
⦁嫁いびり説・・・意地悪な姑(しゅうとめ)説とも言われ、「秋に旬を迎え、
美味しくなる茄子を嫁なんかに食べさせるのはもったいない」という、お姑さんの意地悪な気持ちを表していると言う説です。
⦁やさしい姑説・・・秋に茄子を食べると、身体が冷えてしまうことと、秋茄子は種が少ないので、子宝に恵まれないという縁起の悪さを気にしているのだと言う説です。
⦁実は「嫁」とは、夜目(ネズミの意味)を指すのだという説・・・正月三ヶ日のみに使われる新年の忌み(いみ)詞(ことば)として「ネズミ」を「よめが君」と言うことがあるそうなので、
「よめ」は「夜目(よめ)」と書き、「ネズミ」のことを指していると言う説です。
つまりは、おいしい秋茄子をネズミに食べさせるのはもったいないという事で、美味しいものを取られたくないという意味のようです。
江戸時代は贅沢な食べ物だった?
江戸時代、幕末の天保年間(1830~44)には、茄子は野菜の「初物(はつもの)」の代表格になっていました。
「初物七十五日」、初物を食べると、75日寿命が延びると言われていたので、江戸っ子たちは初物にフィーバーしました。
この当時「初ガツオ」は、その価格が大きく下落していましたが、その代わりに野菜の初物は高値を呼び、
料亭などでは、季節に先駆けた、初物料理が看板になったと言います。
つまりは、初茄子は贅沢な食べ物だったという事です。
初夢の三茄子(さんなすび)が縁起が良い?
初夢とは、一般的には新しい年を迎え、眠った夜に最初に見た夢のことを指すと言われます。
そして初夢で見る縁起物として「一富士二鷹三茄子」があります。
その意味は「富士山」は「不死」、鷹は「高い」、茄子は「成す」という事だと言われています。
まとめ
茄子にまつわる諺には、他にも「親の意見と茄子の花は 千に一つも無駄はない」と言うのがあります。
咲いた茄子の花は必ず受精して実をつけるように、親の意見も全て子の為になると言う意味です。
とはいっても、親の意見を聞かないのは、永遠の風潮で、それを嘆くのはいつの時代も同じという事です。
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