現代では、食材はいつでも好きなものを食べられるために『旬(しゅん)』というものがなくなった感がありますが、
季節だけは、どうやっても好き勝手に換えることはできません。
「紅葉狩り」とは、なんとも風流な言葉ではありませんか。
これからもずっとこの言葉を体感できる自然環境であってほしいですね。
紅葉狩りの起源や由来はや紅葉は鬼とはなど調べて見ました。
紅葉狩りの起源や由来は?
落葉樹が秋に一斉に紅葉する様は、圧巻の一言であり、見事な美しさを目に焼き付けることができます。
この紅葉を眺めて(ながめて)楽しむ行為を「紅葉狩り」と呼びます。
日本に現存する中では最古といわれる和歌集「万葉集」の中に『紅葉』や『黄葉(もみち)』という言葉が出てきます。
このことから、色づいた紅葉を眺める「紅葉狩り」は約1,200年前から存在し、その美しさについては、奈良時代から既に知られていたと思われます。
ただし、この当時の人々は、紅葉の赤に、無常(人のはかなさ)を感じ、やがて訪れる冬の寂しさや、
紅葉した後に散る葉をわが身と重ねていたという説もあり、『紅葉を愛でる』という事は定着しませんでした。
本格的に紅葉狩りが世間一般に広まったのは江戸時代中期と言われています。
この頃には、一種の旅行ブームが起きています。
そして、この旅行ブームの火付け役となったのが
『都名勝図会』などのガイド本です。
これらの中に“紅葉の名所”を紹介したところ、たちまちそこに人が押し寄せたと言われています。
このような紅葉の楽しみ方は、現代の「お花見」と全く一緒の感覚です。
こうして、江戸時代からの「紅葉狩り」は、宗教観に関係なく、純粋に紅葉を楽しむという概念に変わって行きました。
紅葉を狩ると言うのはなぜ?
「狩り」とは本来、獣(けもの)を捕まえる意味で使われていたが、
時の流れとともに、野鳥などを捕まえるという意味に広がり、さらに、果物などを「採る」という意味でも使われます。
やがて、「狩り」は紅葉や草木を眺めるという意味でも使われるようになり、現代に至っています。
赤や黄色に紅葉するのはなぜ?
あれは落葉樹が冬支度をしている姿です。
光合成によってできたデンプンが糖分に変わって葉から枝へと流れてゆきますが、
秋になって気温が下がると、その動きが鈍くなり、葉と枝の間に「離層」という組織が作られ、養分を運べなくします。
すると、葉緑素が壊れてしまうため、今まで見えなかった“カロチノイド”という黄色い色素や、
“アントシアン”という赤い色素ができてくると、イチョウは黄色に“黄葉(こうよう)”し、カエデは赤い紅葉になるのです。
紅葉は鬼とは?
「紅葉」という名の鬼女が、人の心を惑わせます。
これは、戸隠山(とがくしやま)に残る伝説から来ています。
戸隠山に住む、鬼女「紅葉」は、山を降りては村人を餌食にしていました。
時の帝は“平維茂(たいらのこれもち)”に鬼退治を命じます。
維茂(これもち)が戸隠山に向かうと美しい女達が紅葉の下で宴を催しています。
彼は女たちに誘われるままに酒宴に加わり、深い眠りに落ちてしまいます。
この女達こそ鬼女・紅葉とその手下。
鬼女が本性を表した途端、維茂の夢に神が現れ、お告げとともに神剣を与えます。
危機一髪のところで、維茂は神剣で鬼女を退治し、戸隠山に平穏が戻るというお話です。
まとめ
地球の三割ほどが、森林だそうです。
一番広いのはロシア・アラスカ・カナダなどに広がる針葉樹林。
次に広いのはジャングルなどの熱帯雨林。
そして紅葉が見られるのは落葉樹林と呼ばれる種類の樹木だけで、それがまとまっているのは東アジアの沿岸部などの一部。
日本の気候風土のなせる業(わざ)ともいえる「日本の紅葉」。
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