明治の頃に、苗字を持つことが許されたと言うのは聞いていましたが、実際に庶民はそれを喜んだのでしょうか?
当時、苗字を持つことがどれほどの利点があったのか多少疑問には感じてしまいます。
という事で、今回は苗字にまつわる色々についてご紹介します。
9月19日は苗字の日の由来は?
9月19日は「苗字の日」です。
これは、明治3年(1870年)9月19日に出された、「平民名字許可令(へいみんみょうじきょかれい)」に由来します。
とは言っても、「平民名字許可令」は読んで字のごとく、平民も名字を持つことを許可しますと言うもので、強制ではありません。
平民にしてみれば、今まで何百年も名字無しで、不自由なことは何もなかったので、
急に名字と言われても、かなり迷惑だったようで、なかなか名字は普及しませんでした。
苗字・名字・姓名の違いは?
英語に「Family Name」と言うのがあります。
これを日本語に訳すと、「名字」とか「姓」と言った複数の記載があります。
ここでは、「苗字」・「名字」・「姓」の各々について発祥の順に解説して行きます。
(1)「姓」:「姓」とは簡単に言うと「家の名」と言う意味です。
読み方は「せい」ですが、元々はか「かばね」と読まれていました。
「姓(かばね)」とは、天皇が各氏族へ贈った役職や官位を表すものです。
例えば、公(キミ)、や臣(オミ)などが本来の「姓(かばね)」になります。
(2)「名字」:「名字」もまた、「家の名」と言う意味です。
家系を表す部分を指し、読み方は「みょうじ」です。
元々は「姓(かばね)」によって氏族の違いを表していましたが、次第に、「姓(かばね)」だけでは、細かい区分ができなくなっていきます。
そこで、「姓(かばね)」とは異なる通り名として使われ始めるようになったのが「名字」の始まりです。
読み方は「みょうじ」です。
「名字」は土地や地域にちなんでつけられるのが慣例で、一例を挙げれば、“伊賀地域”に住む『藤原氏』であれば、「伊藤」と言う「名字」となります。
(3)「苗字」:「苗字」もまた「家の名」と言う意味です。
名前の内で、個人を表す部分以外の、その人が属する家系を指す部分を言うのも、同じです。
読み方は「みょうじ」です。
但し、戦後は「苗」は「みょう」と読むことができなくなったので、現代では使われません。
佐藤・鈴木・高橋が多い理由は?
佐藤さん、鈴木さんが増えたのは、明治8年(1875年)2月13日に発布された、「平民名字必称義務令」に大きく関係しています。
この法令を交付した際、明治政府は例として、「佐藤」、「鈴木」などを紹介したため、多くの人がその例に有った、これらを選んだためと言われています。
第三位の「高橋」さんは地名発祥名字ナンバーワンなのです。
高橋とは「高台の端」や「高い橋」などのことで、そういう場所の地名として命名されています。
古代の物部氏(もののべし)の流れを汲むという事で、その権威にあやかろうと多くの人が名乗ったと言われます。
今は実在しない幽霊苗字?
実際には存在しない苗字なのに、あると勘違いされている都市伝説的な苗字のことです。
例えば「七五三」と書いて「しめ」と読む苗字はあるそうです。
これは昔のしめ縄が太い藁束から7,5,3本の藁束を垂らしたので「七五三縄」と書くようになり、ここから「七五三」と書いて「しめ」さんと読むようです。
このように難解苗字がある一方で、実在しない苗字もあります。
有名なのが「十(つなし)」さん。 ひとつ、ふたつ、・・・と数えると、十は「とう」で「つ」がない。
だから「つなし」です。
他にも 八月十五日(あきなか)さん、十二月一日(しわすだ)さんなどと言うありそうでない幽霊苗字です。
まとめ
明治の苗字制度では、結婚しても夫婦別性でした。
同じにしろと抗議が多かったそうですが、結局、明治31年まで別姓は継続しました。
そして120年後の現在、今度は別姓にしろの抗議です。
時代の変化と言うのか、得手勝手と言うのかどちらでしょうか?
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