変わりやすいのは、春の空も同様。
「女心と春の空」でもよかったのかな~とも思いましたが、陽気なイメージの春よりは、愁いを帯びたイメージのある“秋”の方が、複雑な女心には会うのでしょうね。
今回はこんな「女心と秋の空」と「男心と秋の空」。 移り気なのはどっち?についてご紹介します。
秋の空はなぜ移り気なの?
なぜ、秋の空は移り変わりやすいのかといえば、晴れをもたらす高気圧と、
雨をもたらす低気圧が、日本付近を西から東に向けて、数日の周期で通過することによります。
横道にそれますが、大陸の乾燥した空気に覆われて、空が澄んで見えるので、全国的に空の青が、他の時期より鮮やかに見えます。
しかも秋には、うろこ雲やいわし雲のような上層雲と呼ばれる高い所の雲が多くみられるようになります。
先ほどのように、空気が澄んで、尚且つ、雲は高い位置に発生すれば「天高く」という秋空のもう一つの表現が生まれてきます。
女心と秋の空の意味は?
「女心と秋の空」とは、秋の空模様のように、女性の心は移り気で変わりやすいという意味ですが、
ではこの「女心と秋の空」と言われるようになったのは、いつ頃からでしょうか?
明治時代の尾崎紅葉の小説「三人妻」には「欧羅巴(ヨーロッパ)のことわざに、女心と冬日和(ふゆびより)といえり」と出てきます。
これはイギリスのことわざ「A Woman’s mind and winter wind change often」(女心と冬の風はしばしば変化する)ということわざのようで、強風や弱風に変化しやすい冬の風を女心に例えたものでしょう。
その後、大正デモクラシーで女性の地位が向上すると、恋愛の価値観も変わります。
当時一世を風靡した、浅草オペラでは『風の中の 羽のように いつも変わる 女心~♪』と歌う『女心の歌』が大ヒット。
この頃から「女心と秋の空」ともいわれるようになったと言います。
男心と秋の空ができた理由は?
え!? 「男心と秋の空」と聞くと、驚く方も多いと思いますが、元々は「女心」ではなく、「男心と秋の空」です。
「男心と秋の空」のことわざができたのは江戸時代です。
当時は、既婚女性の浮気は現代とは大違いで、命を落とすほどの重罪でした。
既婚男性の浮気については極めて寛大だったこともあり、“移り気”なのはもっぱら男性だったのです。
したがって、このことわざは、若い娘に男性を警戒するように戒めたり、男に降られた際の未練を断ち切る慰めにも使われていました。
江戸時代の俳人、小林一茶は「はづかしや おれが心と 秋の空」と言う俳句を詠んでいます。
さらに遡って室町時代の狂言「墨塗」には、『男心と秋の空は一夜にして七度も変わる』という有名なセリフがあります。
令和の時代はどちらなの?
「女心と秋の空」と、「男心と秋の空」、現代ならどちらを使うのが妥当なのでしょうか?
「女心と秋の空」が定着しはじめたのは、昭和に入ってから徐々にという事のようで、
あの『広辞苑』にはじめて掲載されたのは1998年の第5版。 つい最近のことなんです。
今でも、ほとんどの辞書が“男心”をメインにしており、“女心”の載っていない辞書も多いと言います。
その他にも、辞書の記載例を読んでも、男女が入れ替わっていたり、意味が“微妙”に違っていたりと、この言葉自体が“秋の空”状態です。
結局、どっちを使っても間違いではないという事です。 という事は、あなたならどちらを使いますか?
まとめ
これから冬にかけては、しばらくは穏やかな日々が続きます。
どこまでも続く、すがすがしい青空が味わえるのは、この季節の特権です。
いつも、スマートフォンの画面操作に夢中になって、下ばかり見ている人も、最近空なんて真面(まとも)に見たことないな~という人も、
一度止まって“空”を見上げてみませんか? 何か心がはればれした気持ちになってきますよ。
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