今年も残り少なくなりました。
12月となればクリスマスや忘年会など、家族や友人、知人などと楽しめるイベントも多くなることでしょう。
けれど、その前に「大掃除をしなければ」と感じている方は多いことでしょう。
日頃行き届かない場所をきれいにするのは気持ちのいいものですが、やるとなると結構大変なのが大掃除ですよね。
そんな大掃除をなぜ気忙しい年末にするのでしょうか。
大掃除をする意味や由来など、また大掃除がNG日があるって本当?など調べて見ました。
なぜ年末に大掃除をするの?
そもそも年末に大掃除をするようになったのは、いつごろでしょうか?
年末に大掃除をするという習慣は、かなり以前からあり、いつ頃から始まったのかは定かではありません。
しかし、12月13日のお正月の準備ともいうべき「事始め」の行事の中の「煤払い(すすはらい)」に起源があるようです。
昔の日本では、現代のように電気、ガス、灯油といったものがありませんでした。
ご飯を炊き、料理を煮炊きするのは、もっばら「かまど」や「囲炉裏(いろり)」などと呼ばれる設備でされていました。
これらの設備の熱源が、薪や炭だったのです。
また、夜の照明は「行燈(あんどん)」というもので、この熱源にはロウソクや菜種油(なたねあぶら)などが使用されていました。
いずれの熱源にも、燃えかすといえる「煤(すす)」が発生し、家中の壁や高い天井さえも煤で汚れがちとなっていたのです。
この1年でたまった煤を12月13日の正月事始めの「煤払い」として掃除するという習慣が定着しました。
また家中の煤を払うということは、この1年に起こった辛いことや不幸のすべてを穢れ(けがれ)として、
煤と一緒に一掃してしまおうという意味もありました。
この「煤払い」は、家内安全と健康、五穀豊穣をもたらす年神様をお迎えするための大切な準備であり、行事でした。
家中を清め、福をもってきてくださる年神様を失礼のないようにお迎えすることで、
多くの福を置いて頂こうとしたのが「煤払い=大掃除」の目的だったといえるでしょう。
大掃除がNGの日があるって本当?
五穀豊穣と家内安全、家族の健康などをもたらす福をもってこられる年神様をお迎えすることは、精神的にも大事なことです。
しかし、お正月前ならいつでも大掃除をすればよいというものではありません。
「煤払い」から大掃除に言葉は変わっても、日本の行事である「煤払い」には縁起が悪いからやってはいけないといわれてきた日がありました。
それが12月29日と大晦日の31日です。
大晦日に大掃除をしてはいけない理由は?
12月31日の大晦日は、大掃除をしてはいけない日であったことをご存知でしょうか。
大晦日はおせち料理を作り、お雑煮の準備をするなど、なにかと気忙しい日ですが、
ついでに大掃除をしてもよいのではないかと思いがちですが、それはNGだというのです。
昔は、年籠り(としごもり)という習慣があり、年神様は大晦日の夕方以降、日が沈む頃に家にお越しになると考えられていました。
年籠りとは、大晦日には神棚に料理の膳と御神酒を供え、夕食は家族みんなでおせち料理を食べ、
年神様を夜通しでお迎えするために、家から一歩も出ないというものでした。
年籠りの考え方では、大晦日には年神様が家に訪問される日なので、
家人がバタバタと大掃除をして埃がたつようでは、年神様が家に寄って頂けなくなるので縁起が悪いといわれてきました。
近頃のお正月では、大晦日の夜に除夜の鐘を聞きに行くこともありますし、
ただ鐘の音(ね)を聞きながら去り行く年、来る年を思いながら年越しそばを食べるということが定着しています。
元旦に恵方の方角(毎年変わる)からお越しになる年神様をお迎えするという方もいらっしゃることでしょう。
どちらにしても大晦日からお正月の三が日はゆっくりと家族団らんで過したいという考えが主流だといえるでしょう。
しかし昔の人の考えでは、年神様は元旦にすでに家にお越しになっており、
くつろがれているという考えが定着していましたので、12月31日は大掃除をすることは縁起が悪いといわれるようになりました。
大晦日以外にも大掃除をしてはいけない日がある
12月31日の大晦日と同じように、12月29日も大掃除をすると縁起が悪いといわれてきました。
その理由として、もっとも有力な説が「9=苦」を連想させるからだといわれています。
それなら「4=死」を連想させるから、12月14日、19日、24日もダメなのではないかと思う方もいらっしゃることでしょう。
実はこれらの日の大掃除は、29日のように縁起が悪いとはいわれていませんが、なるべく避けたほうがよい日だといわれています。
12月14日(旧暦)は、忠臣蔵で有名となった赤穂浪士が吉良邸に討ち入りした日だといわれています。
12月24は、クリスマス・イヴですよね。
地域やご家庭によって、それぞれの行事で多忙となる日なので、大掃除をされるご家庭は少ないことでしょう。
では、何故29日は大掃除をすると縁起が悪いといわれるのでしょうか。
それは「29=二重に苦しむ」と考えられていたからです。
昔は、苦しみや不幸を重なることは、すごく縁起が悪いとされてきました。
例えば、葬儀の際の服装にも反映されています。
着物の喪服を着る時に袋帯をしめる人はいません。
何故なら、袋帯をしめる際の結び方は「二重太鼓」ということになるからです。
このため、不幸は二重になることをさけるべきだとされ、喪服には袋帯をしないという習慣ができました。
洋装の喪服の際も同じことで、二連の真珠などのネックレスは禁物だといわれています。
このような考え方が、12月29日に大掃除をしてはいけないという考えになったのでしょう。
ちなみに、慶び事は逆に二重のものが喜ばれます。
ですから、婚礼の際は着物に袋帯がしめられ、ドレスには二重のネックレスも良いとされています。
大掃除をするタイミングは?
大掃除をするタイミングとしては、12月13日~28日までがよいとされています。
特に12月13日は「事始め」とされ、毎年必ず鬼宿日となり「鬼」のつく日は婚礼以外なら何をしても大吉という縁起の良い日だといわれてきました。
江戸時代に、13日に江戸城で大規模な「煤払い」が執り行われたことで庶民の生活にも広がっていきました。
少し昔まで、大店(おおだな)に勤めていた奉公人(今でいうサラリーマン)は、遠方からでも奉公にきていました。
交通機関が殆どない時代では、ふるさとに帰るのも日にちがいったことでしょう。
だから13日の事始めの日に煤払い(大掃除)をするとちょうどよかったのかもしれません。
今では12月13日に大掃除するのは、少し早いという方もいらっしゃるでしょうが、
日頃お掃除が行き届いていない所を念入りにするのには早いほうが気持ちも楽になります。
年神様をお迎えする気持ちで綺麗に掃除して、清々しい新年を迎えたいものですね。
まとめ
12月といえば、会社では「年末調整」といって、事務部署では忙しいことでしょう。
年末調整とは、一年間の給与と賞与の総額を再計算し、本来徴収されるべき所得税と源泉徴収した合計額を比較して過不足金額を調整することをいいます。
もし、源泉徴収分が本来の徴収されるべき所得税よりも多い場合は、その差額を従業員本人に還付される仕組みです。
またグローバル化した現代の社会では、海外の企業の決算が12月であるというところが圧倒的に多いといえます。
海外に子会社をもつ日本の企業も、12月に決算期とすれば連結決算もスムーズにできることでしょう。
12月は、今まで見過ごしてきた家や職場の埃を掃除し、仕事を整理しながら決算することで去りゆく年にけじめをつける月です。
福をもたらす年神様は、とてもきれい好きだといわれています。
来年の私たちの健康祈願と五穀豊穣などの福をもたらしてくださる年神様をお迎えできるように、今年も大掃除を頑張りましょう。
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