今回の話題は、おせち料理の中にある「きんぴらごぼう」です。
同じおせち料理の中にある「紅白なます」という料理と少し見かけが似ていますが、材料や味付けはまったく違う料理です。
「紅白なます」は酢の物ですが、きんぴらごほうは、ごぼうだけでなく歯ごたえのある野菜を砂糖と醤油で味付けして炒め、赤い唐辛子でピリッと味をきかした料理です。
きんぴらごぼうは、ごぼうを短冊切りにしたり、ささがけにしたりなど切り方もいろいろ楽しめ、
ニンジンやレンコン、こんにゃくなどの具材を油で炒めて甘しょっぱく味付けされた料理です。
「きんぴらごぼう」の料理は、ご飯にもお酒のあてにも、よく合うことでしょう。
ところで「きんぴらごぼう」と呼ばれている料理ですが、何故「きんぴら(金平)」と呼ばれているのでしょうか?
「金平」の意味と由来をみてみることにしましょう。
きんぴらごぼうの「金平」の意味は?
「金平」という名前は、足柄山(現在の神奈川県小田原市)生まれの金太郎(後に侍となった坂田金時)さんの息子、
坂田金平(きんぴら)が「きんぴらごほう」の名前の由来だといわれています。
金太郎さんといえば、木を倒し、熊と相撲をとる力持ちでありながら気はやさしく、まさかりを担いで熊に乗るというイメージが定着した人物です。
強い侍を探していた武将、源頼光に今でいうスカウトされた金太郎さんは、後に坂田金時と名乗り、
頼光の最強の家来の一人として、酒呑童子や土蜘蛛討伐に活躍するさまは「御伽草子」などの書物に登場します。
源頼光は、鎮守府将軍である源義仲(多田義仲)を父に、嵯峨源氏の近江守源の娘を母にもった平安時代の実在の武将です。
後世に創られた「今昔物語」や「御伽草子」の書物では、前述に記した化け物退治をする強い武将として描かれていました。
しかし、史実によると源頼光は武将というよりも貴族の文官といった要素を備えた人物だったようです。
金太郎さんこと、坂田金時という侍も実在人物だったのかどうかは現在も不明とされています。
きんぴらごぼうの由来や歴史は?
江戸時代にはいると、坂田金時の息子である坂田金平を主人公にした金平浄瑠璃が流行りだします。
坂田金平が活躍する金平浄瑠璃では、金太郎さんに似て、気がやさしくて力持ちという設定で、次から次へと悪者を退治していくというものでした。
この金平浄瑠璃が流行ると「金平(きんぴら)」という名前が、強くて丈夫というイメージとして定着していくようになりました。
このことから、硬い野菜を調理し、最後にピリッと辛い唐辛子を加えた料理を「きんぴらごぼう」と総称して呼ばれたのが由来ではないかといわれるようになります。
ところで、江戸時代に流行った金時浄瑠璃の主人公である坂田金時さんですが、こちらは架空人物だったようです。
「きんぴらごぼう」食べるとオナラが出るのは?
きんぴらごぼうを食べるとオナラが出るからと控える人がいますが、それは健康によいとはいえません。
野菜には食物繊維が多く含まれているものが多く、食物繊維には水溶性と不溶性の2に大きく分類されます。
水溶性食物繊維は水分をたくさん含んだ、水に溶けやすいとされるいも類、アボカド、海藻類などに多く含まれています。
水溶性食物繊維は、生活習慣病の要因となるナトリウムやコレステロールを吸着する作用があり、便とともに排出してくれます。
不溶性食物繊維は、水にとけることがないのですが、水分を含むことで膨張し腸壁を刺激させることで排便をスムーズに促す作用があります。
このことから、美容や便秘の予防・改善に役立つ食品だといえることでしょう。
この不溶性食物繊維を含む食品としては、まめ類、きのこ類、ほうれん草、りんごなどがあげられます。
特に不溶性食物繊維を多く含んでいるのが、ごぼうです。
また不溶性食物繊維を含むごぼうなどには、腸内環境をよくする作用があるといわれています。
ストレスなどからおこるさまざまの疾患は、脳だけでおこるのではなく、腸内環境にも関係があるという研究が発表されました。
ところが、ごぼうなどのように不溶性食物繊維だけを多く摂取してしまうと、
消化するのに時間がかかってしまい、オナラがでやすい状態となってしまうのです。
これを解決するためには、水溶性・不溶性食物繊維を偏ることなく、バランスよく摂取することが大事だといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
きんぴらごぼうの名称が、昔話から馴染みのある金太郎さんの息子さんの名前から由来したなんて驚きでしたね。
きんぴらごぼうは美味しいだけではなく、ごぼうなどに含まれた食物繊維が私たちの腸内環境を整える作用があるのがわかりました。
現在のストレス社会に生きる私たちが、健康で明るい生活を送るためにも、
きんぴらごぼうなどの食物繊維を含んだ食品は、腸の働きをやさしくサポートしてくれることでしょう。
やさしくて力持ち、まるで金平さんのような食物繊維を含んだきんぴらごぼうは、私たちの強い味方であるといえます。
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